秘密の彼氏は、私にだけ甘すぎる


「どうしたの、理帆。急に立ち上がって」

「あっ」


私と話していた友達の果耶が、心配そうに声をかけてくれる。


「な、何でもないよ」


私は慌てて席に着く。


いけない、いけない。翔也がモテるのは、今に始まったことじゃないんだから。

こんなくらいでいちいち動揺してたら、この先翔也の彼女なんてやっていけない。

それに木村さんは、翔也と私が付き合ってることを知らないんだから。


「……木村さん」


翔也が自分の手を繋いでいる木村さんの手を解くと、彼女をキツく睨みつける。


「あのさ。こんなことは、もう二度としないでくれる? 俺の彼女が悲しむから」

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