最強メイド!おぼっちゃまたちをお守りします!
 杏くんの方は少し理解出来たかも。
 私のことは嫌いっぽいけど、だからって全く相手にしてくれないわけじゃないし。
 多分基本的には情に(あつ)いタイプなんだね。

 仲良くなれるかは分からないけれど、嫌いなタイプではなさそうで安心した。
 だから帰りの車の中では比較的ご機嫌だった私。
 そんな私に柊さんがふと思い出したって様子で話しかけてきた。

「そうだ。学園での護衛は基本杏についててもらう感じらしいから。放課後だけ、生徒会の仕事で遅くなる僕につくんだって」
「あ、はい。分かりました」

 いつそんなことが決まったんだろうって思いながら、今日は金曜日だし本格的な護衛任務は来週からだねと考える。
 了解した私に、柊さんは目を少し細めてちょっと警戒するような感情を見せた。

「……二人きりになることもあるけど、仕事の邪魔はしないでよね?」
「え? はい、それはもちろん」

 答えながら首をひねる。
 柊さんは何を思ってそんなことを言ってるんだろう?
 二人きりだろうが何だろうが、私がするのは護衛だけ。わざわざ柊さんの仕事の邪魔なんてしないのに。

 不思議がる私に、柊さんはほんのちょっとだけ驚いた顔をして「なら良いけど」といつもの無表情に戻る。
 柊さんって本当に何を考えているのか分からない。

 難ありな護衛対象たちだけれど、彼らを危険から守るのが私の仕事。
 そこは割り切って行こう。
 また改めて決意をし、私は来週からの護衛任務のことを考えていた。
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