最強メイド!おぼっちゃまたちをお守りします!
第9話 朧夜
 杏くんとさらに仲良くなれたその日の夜、頼んでいた血液パックが届いた。
 柊さんの血をなめてから、特に血を飲みたいって思うことはなかったけれど……。
 あれは本当に吸血衝動だったのかな?

 お母さんから聞いた話だと、まず飲んでみたいって思うことから始まるらしい。
 それをガマンしてしるとそのうち人を(おそ)いたくなるから、早めに血液パックを頼むようにって言われてたもん。

《ヴァンパイアは、相手の了承(りょうしょう)無く吸血行為をしてはならない》

 ヴァンパイアとハンターの間で決められたルールの一番初めにある項目(こうもく)
 ハンターを目指す私にとって、一番しちゃいけないことだもん。

 柊さんの血はなめちゃったけど、かみついてないからギリギリセーフってところ。
 だから万が一を考えて頼んでみたものの……。

「……飲める、かな?」

 飲み口を開けてクンクンと匂いをかいでみる。
 ……少なくとも、美味しそうとは思えない。
 でもだとしたらどうして柊さんの血は美味しかったのか……。

「うん、一人で考えても分からないよね!」

 私はすぐに悩むのをあきらめてお母さんに電話をかけた。
 報告も()ねて、何日かに一回は電話しているからついでみたいなものだけど。
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