最強メイド！おぼっちゃまたちをお守りします！
＊＊＊
「では、準備が出来たら先程案内したリビングルームに来てください」
「はい！　分かりました！」

　白髪混じりのきつそうな見た目の女性に、私は元気よく返事をする。

　彼女は佐々木(ささき)登代(とよ)さん。
　この常盤邸に来た私を出迎えてくれて、屋敷の案内をしてくれたんだ。
　登代さんはこの家で働いているメイドを取りまとめているハウスキーパーって立場なんだって。

「元気が良くてよろしい」

　ほんの少し柔らかくなった表情でうなずいた登代さんは、「ではまた後で」と言っていなくなってしまった。
　厳しそうな人だけど、見た目より怖くはないかも。

「よし！　じゃあ準備しなくちゃね！」

　私は早速簡単な荷解(にほど)きをしてメイド服に着替えた。
　黒いワンピースドレスに、白いエプロン。
　あと、この頭につけるカチューシャはブリムって言うんだって。

　一通り着替えて、後はクロちゃんをどこに携帯しておこうかと考える。
　一見ただの棒にしか見えないからどこでも良いと言えば良いんだけど。
　あのベルトがあればなぁ……って未練(みれん)がましく考えてしまう。

「……あ、そうだ！」

　ふと良い携帯方法を思いついた私は、その後もちょっと作業をしていた。
　でもそのせいで思ったより時間がかかっちゃったみたい。

　流石にそろそろ行かないとまずいかも！　とあわてて部屋を出た。
　でもあわてたせいかな？
　ちょっと曲がる廊下を間違えたみたい。
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