最強メイド!おぼっちゃまたちをお守りします!
「さっきも言ったけど、教えるわけないじゃん。それに、時間稼ぎはもう十分だし?」

 言い終えると、梶くんは裏口のドアを開けた。

「待てっ!」

 ハッとしてつかまえようと手を伸ばす私に、梶くんは「いいの?」と笑う。

「なにがっ!?」
「俺と追いかけっこしてる時間ある? こうしてる間にも常盤社長に脅迫の電話が行くよ?」
「っ!」
「それに、君がいなければ生徒会長の方まで守りがなくなるよね? 人質が増えるだけってことになるかもよ?」

 そんな風に言われては梶くんを追いかけることが出来ない。
 黙り込む私に、梶くんはヒラヒラと手を振った。

「じゃあ、またいつか会おうね。カワイイのんちゃん」
「梶くん!」

 止めるように呼ぶけれど、私は追うことも出来ず途方に暮れて開け放たれたドアを見ていた。
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