星が代わりに泣いてくれるから

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仕事が忙しくて、勃たなくなった。

いや自分でいじっていたら勃つことには勃つが、妻を前にして入れる段階で萎えるのだ。きっと、萎えてしまった時の愕然とした表情を見たときからだ。

あれは思ったよりも堪えたし、今も引きづっている。年齢もあるだろうし、お互い知りつくしたセックスはマンネリしている。

今も時々誘われるがあきらかに頻度が減った。
自分からも誘おうと思うが結局眠気が勝ってしまう。

むらむらしているときは既に背を向けて眠る妻を見てしまい、起こすのもかわいそうでさくっとネットの画像で抜いてる。妻ははじめ起こしてくれたらよかったのに、といったがあの残念そうな表情が脳裏にこびりついて積極的に誘うことはできなかった。

仕事量がどんどん増えていき、日付の感覚さえ覚えていないことがままある。

仕事量は増えても人員が増えるわけでもなく、部下も上司も疲れ切っている。目の下には隈、無理やり笑顔を貼りつけて営業先に行っていたら日が暮れる。営業所に帰ってきたら、お疲れ様ですーと皆がゾンビの顔をして出迎えた。

大型案件取れたんで祝賀会今からしませんか、と部下のオダチがコンビニで買ってきたであろう二リットルのジュースやら、つまみなどがテーブルに置かれる。

みんなも死んだ顔してせっせと準備していた。普通はどこか居酒屋など行くのだろうが今日は金曜日で、明日は休み。

実際にはさっさと帰りたいのだろう。安上りでなおかつ時間が短縮できるというメリットをとった結果なのだろう。妻のセリカに遅くなる、と連絡をいれる。やや間があってスタンプで了解と送られてきた。
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