友だちでいたいのに

1.友だちのアイツ

「わぁー、あれ金閣寺でしょ?」
「すっご、写真で観たまんま!」
「あはは、ユカちゃん。そんな感想ある?」
 秋の修学旅行。あたしたちは京都にやって来た。

「さて、このあとは自由行動だよね? うれしー、念願の縁結び神社めぐりまくり!」
「ずっと楽しみにしてたもんね、ユカちゃん」
 高二のあいだになんとしても彼氏を作りたいユカちゃんたっての希望で、あたしたちの班は、縁結びの神さまがいる神社にいくつか行ってみることにしたの。
「まーね! 瑠奈(るな)には、もう三船(みふね)くんがいるからタイクツかもしれないけど、つき合ってよ」
 そうユカちゃんに言われて、あたしはあわてて首を振る。
「ちがうよ! 恭司(きょうじ)とはそんなんじゃないって。アイツは――」
「オレがどうかしたか?」
 背後から声が聞こえた。
 相変わらずムスッと無愛想な顔つき。
 でも、本人は怒ってるわけでもなくて、これがフツーなんだって。

 こいつがあたしの――男友だち、三船 恭司(みふね きょうじ)
 中学時代からのつき合いなんだ。
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