友だちでいたいのに

6.真夜中の偶然

 真夜中。

 さすがにみんな寝ちゃったけど、あたしはどうしても寝つけなかった。
 しゃべりすぎたせいか、のどがひどくかわいてる。
 自動販売機があるの、別の階なんだよね。
 めんどくさいけど、行ってこようかな。

 エレベーターに乗って自動販売機のあるフロアに出ると。
「うわあっ!」
 自動販売機のそばにある休けいスペースに、恭司の姿があった。
「声デカすぎ。みんな起きちまうだろーが」
 恭司がシーッ、と人差し指を立てる。
「なんで? なんでいるの?」
 恭司は面食らったように、
「それはこっちのセリフだ。なんでオマエがここにいんだよ? この階、男しかいねーのに」
「だ、だって。寝つけないし、のどかわいたけど飲み物買えるの、このフロアだけなんだもん。そっちこそ、どうして起きてんの?」
「オレ、いつもとちがう場所だと落ち着かなくて眠れねーんだもん。ナイーブだから」
 ナイーブ? 恭司が?
「あはは! 似合わないしっ!」
 あたしが笑い出すと、恭司は無言のままあたしを見上げた。
「なに? 怒った?」
 てっきりまた、
「オマエなー」
 って、ムッとしてくるかと思ったのに、恭司はホッとしたようにほほえんで。

「いや、久々に瑠奈が笑ってるとこ見れたから」
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