クリスマスなんて大嫌い! ~黒鼻のトナカイ~
オモチャ屋さんから歩いて5分ほどのところの喫茶店に私達は入った。
ふわふわと湯気があがっているココアは、真人君が言ってたとおり甘くてとても美味しかった。
「美味しいね」
「うん」
満面の笑みの美樹と私の向かえには、私達が大好きな男の子二人。
こんな幸せな気分、今まで味わったことなかった。
「くしゅん」
「優、大丈夫? 明日は私がトナカイしようか?」
「ううん、大丈夫」
そんなもったいないこと出来ないよ。
トナカイでいる限り翼君と居られるんだから。
けど、美樹の言葉は嬉しかった。
美樹が私と代わってトナカイになったら、真人君と離れちゃうのに……。
それでも私を心配して代わろうとした美樹の優しさが胸に沁みた。