クリスマスなんて大嫌い! ~黒鼻のトナカイ~
「みんな帰ったのに一人で何してんの?」
眼鏡の奥から無表情で私を見ている太郎さん。
急に一人でいることが恥ずかしくなった私は、視線を床に落とした。
「べつに……。疲れたからちょっと休んでただけです」
「あ、そう」
私の言葉を聞き流すかのように、太郎さんはこの床のモップかけをし始めた。
私、イヴにこんなところで何やってるんだろう……。
急に虚しくなった。
そんな私の目の前をモップかけしている太郎さん。
「どいて」
邪魔だと言わんばかりにモップを私の足元に寄せた。
もう、太郎さんてほんとにいやな人。
私はむすっとした顔で立ち上がり、椅子を端に避けようとした。