クリスマスなんて大嫌い! ~黒鼻のトナカイ~
私、太郎さんに酷い態度ばかりとってたのに。
今日は太郎さんの顔すら見ていないのに……
俯いている私の肩を、隣にいた翼君が優しく叩いた。
はっとして顔を上げると、翼君が『飴が無くなった』って籠を指さしてる。
気がつくと、私と翼君が持っている籠の中は空っぽになっていた。
まるで今の私の心のように……。
私は翼君に伝わるように大きく頷き、二人で飴を取りに事務室に戻った。
私の前を歩く翼君……。
私の目には翼君しか映ってないのに、
胸の中に太郎さんが浮かんでくる。
どうして……?
どうしてなの……?