完全無欠な財閥御曹司の秘密は、私だけに××!
6章:それは初耳です

 しかし次の日、私は朝から会社の給湯室で壁ドンされていた。

「おじさまから聞いた。一緒に帰るから怪しいと思ったら、大河くんと付き合ってるなんて驚きだわ」

 私を壁ドンしながら言い放ったのは、海外事業部先輩の安西奈緒さん。
 普段品行方正そうな人ほど怒ると怖い。綺麗に磨かれた爪も今は凶器にしか見えない。安西さんは怒りの口調で続ける。

「どうやって落としたの? 大河くん、ああ見えて女性は苦手のはずでしょ」
「苦手、なのはご存じだったんですね」

 本当はアレルギーだけど、苦手というのも間違いない。安西さんは息を吐いた。

「わかるわよ。だって昔はあんなのじゃなかったもん」
「……え?」
「やっぱり知らなかったのね」

 安西さんは呆れた、と言って続ける。
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