完全無欠な財閥御曹司の秘密は、私だけに××!
9章:結婚の条件
 土曜の夜、二回キスした。
 今思えば船上だったのもあってそういう雰囲気になってしまったのかもしれない。

 そのあと大河さんはすぐにイタリア出張に行き、一週間留守。帰ってきたと思ったら仕事に追われていて、今日は先に帰っていった。
 でも私はなんとなく顔を合わせづらいのと仕事が忙しいのもあって、時間をあけて帰った。

 リビングに入ってみると、書類を手に持ちながら、ソファで眠ってしまっている大河さんがいた。

「……寝てる。珍しい」

 寝室も別なので、寝顔を見ることはない。寝ている時間も短いみたい。なのに朝はジョギングまでしてるのだから凄い体力だ。

 手に持っている書類をそっとローテーブルに置く。ブランケットをかけて、ソファの横に私も腰を下ろした。本当にぐっすり眠ってる。

「なんだかんだ忙しいですよね。出張も結構あるし」

 そして、ついその唇に目を向けてしまった。
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