キミと過ごした、光輝く270日間のキセキ【2.19おまけ追加・完結】

最初で最後のラブレター

より一層冬が近付いた12月。


私はまだ、夢の中にいるみたいだ。
先月、匠真が森脇さんと協力して結婚式を計画してくれた。

私の夢だった結婚式。

森脇さんが持ってきてくれたウエディングドレスのパンフレット。

それを2人で見ながら何気なく選んだウエディングドレスを着て、小さな小さな結婚式を挙げた。

婚姻届にもサインをして、晴れて夫婦になった私たち。
左手薬指には、その証が光り輝いている。


「……痛っ」


寒いある日の朝。
私は、右股関節の痛みで目が覚めた。

……まだ、生きてる。

これは最近、朝目覚めたときに思うこと。
自分がもう長くないと知ってから、朝起きたときにこう思うようになった。

それからもうひとつ。

朝を迎えることができるのは、当たり前じゃないということ――。

* * *


「え、起き上がれない?」

「……はい、今日は調子があんまり」


私のリハビリを担当している先生――野瀬先生が訪室時、身体の痛みで起き上がることができなかった。

気のせいなのか、頭もボーっとしている。
朝食を1割も食べることができなかったせい?


「矢田ちゃん……主治医に報告してくるけど、いいかな?」

「……はい」


そう言って、一旦病室を出て行ってしまった野瀬先生。

あぁ……ダメだ。
意識が、遠のく――。
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