敏腕社長は雇われ妻を愛しすぎている~契約結婚なのに心ごと奪われました~
 隼人さんも私を家事代行業者だと正直に話しておきながら、それは知らなかったらしい。意外なつながりに盛り上がり、こうして美奈子さんにはさらに気にかけてもらう結果となっている。

「私ね、息子ふたりだから、娘にずっと憧れていたの。未希さんみたいな人が隼人のお嫁さんになってくれて本当に嬉しいわ」

 美奈子さん行きつけのブティックに案内され、彼女は自分の服を見た後私の服を見繕いだした。遠慮する私に美奈子さんは笑顔であれこれ勧めてくる。

「い、いえ。隼人さんは私にはもったいない人で、」

「そんなことないわよ」

 さらりと否定した美奈子さんは、どこか切なそうな表情だ。

「夫も私も、隼人をずいぶん厳しく育てたと思っているの。シャッツィの跡取りとしても、社長令息としても恥じないようにって。事細かく口出しして、勉強、スポーツ、習い事、いろいろなことをやらせてきたわ」

 隼人さんから聞いた生い立ち。美奈子さんも同じように感じていたらしい。

「今思うと、なにをあんなに必死になっていたのかしら。隼人もずっと息苦しさを感じていたんでしょうね。おかげで他人にはもちろん私たちにもどこか壁をつくるようになって……。会社も継いで、大きくさせて、立派で自慢の息子だと思うけれど、ずっと誰かがあの子に寄り添ってくれたらいいと思っていたの」

 ご両親が隼人さんに結婚を勧めていたのは、そういう理由もあったらしい。
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