どうしたって恋の味
♪~♪~♪~♪
「いらっしゃいませ~」
入店音が聞こえて、私はすかさずそう声を出す。
自宅と学校からちょうど真ん中ほどの距離にあるコンビニ。
ここでアルバイトを始めて一年が過ぎた。
仕事内容にはだいぶ慣れてきたし、店長や一緒に働く従業員さんたちはみんな優しくて、割と楽しく仕事ができている。
本日シフトが一緒の金島さんが、ドリンクの補充に行ったタイミングで、若い男性客2名がレジの方に直行してきた。
「タバコ。112番、1つ」
う、嘘でしょ……。
「お客さま、身分証明書はお持ちですか?」
恐る恐るそう尋ねると。
「あー今持ってないや」
いかにも柄の悪そうなその人の一言に、ヒヤッとしてしまう。
これは嫌な予感……。
「申し訳ございませんが、ご年齢の確認ができるものをお持ちでないとお売りすることが……」
できるだけ気分を害さないようにと内心ドキドキしながら言うと、2人の顔が緩んだ。
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