妹の方が聖女に相応しいと国を追い出されましたが、隣国の王太子に見初められました。今更戻って来て欲しいなどと言われても困ります。
第四章 因縁との決着
 兵士達の案内で、私とアグナヴァン様は先生が休んでいた部屋に来ていた。
 私達は、周囲を見渡して本を探す。予想通りなら、この部屋の中に例の本があるはずなのである。

「フェルーナ殿、あれは……?」
「ええ……」

 その本は思っていたよりも早く見つかった。
 先生が休んでいたはずのベッドの近くにある机に、一冊の本が置いてあったのだ。
 その本の装飾には見覚えがある。まず間違いなく、例の本だ。

「アグナヴァン様、少し離れていてください」
「大丈夫なのか?」
「ご心配なく……」

 私は、ゆっくりと本の元に向かった。
 この本が本当に動くかどうかはわからない。だが、どの道残しておく意味もない本だ。抵抗がないなら、そのまま破壊してしまおう。

「む……?」
「え……?」

 そう思いながら私が魔力を集中して構えた瞬間、本に動きがあった。
 本が動く。それは、普通ならあり得ないことだ。
 例えば、誰かが魔法を使っていればそれもあり得る。だが、この場にはそのような魔力は感じられない。
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