妹の方が聖女に相応しいと国を追い出されましたが、隣国の王太子に見初められました。今更戻って来て欲しいなどと言われても困ります。
「……フェルーナ殿、あなたと会うのは随分と久し振りのことだな?」
「ええ……アグナヴァン様、今回は助けていただき、本当にありがとうございました」
「気にすることはない。あなたを助けたのは、こちらにも利益があったからだ」

 私とアグナヴァン様は握手を交わした。
 彼の握力はとても強い。その強さに応えるように、私もしっかりと握りしめる。

「今回は、色々と大変だったようだな……まさか、あなたのような人が罪人として追放されることになるとは」
「色々と複雑な事情がありまして……アグナヴァン様は、教授からどこまで聞いていますか?」
「教授からは最低限のことしか聞いていない。故に、事情をそこまで知っている訳ではないのだ。だが、あなたが聖女として不適格であるとみなされたということは聞いている」

 アグナヴァン様は、大まかな事情しか知らないようだ。
 それなら、事情を最初から説明した方がいいだろう。彼にも、今回の件は把握しておいてもらいたいものだ。
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