弁護士は相談料として愛を請求する

ライバルと自覚~望side2


 すずのいない保育園の園長から電話があった。

「いやあ、古川先生。すみませんねえ、倉田先生を双葉園のほうに異動させてしまって……実は、少し保育園の不動産の権利関係についてご相談したいことがありましてね、お時間頂けませんかな」

 その日、夕方に保育園へ行き、園長の相談に応じた。すると、帰り際に言われた。

「先生、きっと倉田先生のことご心配でしょうからお伝えしておきますけど、私から聞いたことは内緒にしてくださいね」

「はあ。あいつまた何かしでかしました?最近連絡がなくて、そんなことじゃないかと実は心配してました」

「いや、そういうことじゃなくてね。実は向こうの男性保育士が一緒のクラスで倉田さんに好意を持っているようなんですって。先生にだから言いますけど、彼からのボディタッチに倉田さんが悩んで、園長は相談されたそうです」

 なんだと!?ボディタッチっておい、セクハラだろそれ。すずは大丈夫なのか。俺は園長に食ってかかった。

「それってセクハラですよね、すずは……、倉田先生は大丈夫なんですか?」

 机を叩いて立ち上がった俺に、園長は身体を反らして驚いている。
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