弁護士は相談料として愛を請求する

「倉田先生も今後何かあればご相談ください。先生は別途料金体系となっておりますので、その都度ご案内致します」

「……ちょっと、のん、いい気になるな!」

 私の叫び声にみんなが振り返った。

「やだ、倉田先生。そんな怖い顔するんだ。いいもの見ちゃった」

「倉田先生。子供の前ではその顔はやめてくださいね」

 美保先生と園長先生に言われた。愛想笑い浮かべるしか出来ない。後ろでくくっと笑うのんの小さな声。

「じゃあな、すず。俺はまだ仕事があるから戻る。気をつけて帰れよ。騙されないようにな」

「のん!」

 そう言うと、彼は手を振っていなくなった。何が顧問だ、仕事のだしに使われて、挙げ句の果てに皆の前で笑いものにされて……。

 あの甘い金曜日は夢だったのかもしれないとがっくりして帰宅の途についた。

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