弁護士は相談料として愛を請求する

「……そんなことありません……」

「いや、本当ですよ。そのオレンジのワンピースよくお似合いです」

「あ、ありがとうございます。行きましょうか」

「そうですね」

 今日の天気や、最近の園の行事のはなしなどしながら会場へ向かった。階段を上るときに、つま先が引っかかってしまい、前のめりになった。すると、隣を歩いていた人が腕を引っ張ってくれた。

「あ、すみません」

「いいえ」

 黒い服に帽子を被った背の高い男性が小さく答えた。

「大丈夫ですか?転ばないで良かった」
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