不遇な令嬢は次期組長の秘めたる溺愛に絡め取られる。
愛の形
それから和仁さんとはほぼ毎日一緒に食卓を囲んでいた。朝早かったり夜遅かったり、一緒に食べれないこともあるけど和仁さんはなるべく時間を合わせてくれた。
もうその気持ちだけでもとても嬉しい。
「姐さん、最近ご機嫌っすねぇ」
「そうかしら?」
お庭はすっかり綺麗になったし、最近はお花屋さんとも顔見知りになってきた。
季節のお花が入りましたよ、と連絡をくれたりガーデニングのアドバイスをしてくれたり。
最近は玄関だけでなく、居間や食卓にもお花を飾らせてもらっている。
お義父様もお義母様も綺麗だと喜んでもらえた。
「ジェシカさん、華道をやってみるつもりはない?」
ある日お義母様からそんな提案をされた。
「知り合いが華道の家元でね。習ってみたらいいんじゃないかしら」
「華道……興味あります!日本の伝統的な生け花ですよね」
「そうよ。あなたなら素敵な生け花ができるわ」
お義母様に紹介していただき、早速華道教室に通い始めた。
すぐに華道の奥深さに魅了された。西洋とは違い、隙間や空間も美しさと捉える日本の生け花はとても奥が深い。
でも綺麗に生けられるようになって、和仁さんにも見てもらいたい。
吉野の邸宅は日本家屋なので、生け花も映えると思う。