不遇な令嬢は次期組長の秘めたる溺愛に絡め取られる。
幸せな家族
今日はお花見にやって来た。
まだちょっと肌寒い時もあるけど、桜が満開に咲いていてとても綺麗。
お天気も良いし、お弁当持って外で食べたら気持ち良いかなと思ってお花見にやって来た。
「鏡花ちゃん、おてて拭きましょうね」
「あー」
娘の鏡花ちゃんは1歳になったばかり。
毎日少しずつ大きくなっていく姿が一瞬でも見逃せない。
「あー、あー」
「あら?パパのところ行くの?」
鏡花ちゃんはパパに向かって両手を伸ばすので、和仁さんに抱っこをバトンタッチした。
「おいで鏡花」
パパに抱っこしてもらい、鏡花ちゃんは嬉しそうにキャッキャッと笑う。
和仁さんは相変わらずポーカーフェイスだけど、娘がかわいくて仕方ないのか時折優しい笑みを見せる。今みたいに。
「姐さん、お茶どうぞ」
「あらありがとう」
ちなみにお花見に来ているのは私たち三人だけでなく、舎弟たちも一緒。場所取りだったり、その他雑用だったり、有事の際は護衛に付いてくれることになっている。
「いや〜それにしてもお嬢は姐さんに似てよかったっすね〜。美人間違いないっすよ!」
「私は和仁さん似がよかったのだけれど」
「えー絶対姐さんっすよ!兄貴に似たら美人でもすげー仏頂面になっちまいますって」
「それな!姐さんに似なかったらこんなにお人形さんみたくはならないっすよ〜!」
「……お前たち、聞こえているが?」
「「あっっすんません!!」」