社内恋愛を始めたところ、腹黒上司が激甘彼氏になりまして

社内恋愛を始めたところ、腹黒上司が激甘彼氏になりまして2



 さて連絡をしてと言われても、どう連絡したらいいか分からない。
 かれこれ一時間くらい、私は文面を悩んでいた。

 まず社会人として連絡をしない選択はない。と言って『今度、食事にでも連れて行って下さい』とかカジュアルな対応もしたくない。挙げ句、仕事のアドバイスを要らないと断ってしまった為、相談に乗って欲しいという社交辞令も封じられる。

「はぁ、なんでこんな羽目になっちゃったのやら」

 部長のおふざけを真面目に受け取る自分が情けない。他者と渡り合える振る舞いができるようになったのを見せ付けるチャンスでもあったのに。あの掴みどころがないミステリアスな笑みを向けられると、躾けられたよう頷いてしまう。

 誰にも頼らず一人でやっていく。必死で身に着けている仮面(ペルソナ)を部長は剥がそうとするんだ。

 化粧を落とし眼鏡姿となった私が暗くなるディスプレイへ映し出される。
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