初恋婚〜幼馴染のエリート同期と離れられなくなりました~
「新幹線って久しぶり。子供の頃以来かも」
「地方に行く用事がなかったら、なかなか乗らないよな」

俊介はテーブルをひきだしてすでにお弁当を食べ始めてしまった。
朝食を取っていないのだと言う。

匂いを気にしてか、箱の中にはサンドイッチが入っていた。

優莉奈は新幹線の揺れを感じながら流れていく景色を見つめた。
生まれ故郷である地元へ帰るのはこれが始めてだ。

5歳まで暮らしていたと言ってもほとんど記憶に残っていないため、はじめての土地といってもいい。

気持ちは旅行気分で、ワクワクしてくる。
「言っとくけど、遊びに行くんじゃないんだからな」

そんな優莉奈の心境を見越したかのように俊介が釘を差してくる。
「わ、わかってるってば」

優莉奈はギクリとしたが、苦笑いを浮かべてごまかしたのだった。
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