初恋婚〜幼馴染のエリート同期と離れられなくなりました~
「この辺の神社はご利益が強いから気をつけないとダメよ?」
その言葉に思わずむせてしまいそうになる。

優莉奈と俊介は顔を見合わせた。
「この近くにお城があるでしょう? お殿様はこの周辺に沢山の神様を祀られたの。何年何十年何百年じゃきかない神様が沢山いるのよ」

「そうなんですね」
当時の自分たちはそんなこととは知らずに願掛けをしてしまった。

効力が強すぎる神様に、結婚したいとお願いしてしまった。
「そろそろ行こうか」

窓の外はオレンジ色に色づき始めている。
ゆっくりしていると薄暗い境内を歩くことになってしまう。

「おじさんおばさん、今日はありがとう」
「これくらいのことしかできなくてごめんね。また来てね」

おじさんおばさんに見送られて家を出たふたりは無言で歩き始めた。
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