初恋婚〜幼馴染のエリート同期と離れられなくなりました~
座敷に座った状態で軽くストレッチをすると、少しずつ体が楽になってくるのがわかる。

体をひねるたびにどこかの骨がパキパキと音を鳴らす。
もっと若かったころにはこんなことなかったのにと、苦笑いが浮かんだ。

「事務職も大変だよな。定期的に動かないと、体を悪くするよ」

今の優莉奈を見て一樹が心配そうに眉を寄せた。

「そうなんですけど、集中しちゃうとつい忘れちゃって」
気がつけば何時間もパソコンの前に座ったままなんてこともしょっちゅうだった。

そうなると体はどんどん固くなっていくし、血液の流れも悪くなる。

一樹はそんな優莉奈のことを気遣ってくれている。
「とにかく、明日は休みだし乾杯しよう」
「はい」

優莉奈は元気に頷いた。
普段あまりビールは飲まないけれど、こういう場所だとつい欲しくなる。

ビールの炭酸が喉を刺激してくるのが心地よい。

「二杯目からはレモンサワーだっけ?」
「そうですね。レモンサワー大好きです」

疲れた体にアルコールが染み渡っていく。
< 84 / 179 >

この作品をシェア

pagetop