静穏総長も、時には激しく愛したい
竹で出来た鹿威し(ししおどし)が、もう何度もカポーンと音を立てている。
その音は頭の中で警鐘へと替わり、尋常じゃない焦りから、バイブみたいに体が震え始めた。
「(どこいるんですか、奏さんー!!)」
ステキな着物に身を包んだ私の顔は、もはや鬼の形相。お酒で出来上がっているお父さんたちと並んでも大差ないほど、私の顔は真っ赤だった。
「さぁて、どうするかなぁ……」
この現状を前に、いつもニコニコ純弥さんも、さすがに冷や汗を流していた。
そして「その責任は私にある」と言わんばかりに……時々かちあう視線は、ジットリしている。
……それもそのはず。
お見合い当日まで「婚約破棄の件、大丈夫そう?」と純弥さんが何度も心配してくれたにも関わらず、
『きっと奏さんが何とかしてくれるはずです!』
と他力本願で、これといったアクションを起こさなかった私。
まさか当日まで奏さんに会えないとは思わず……。「ヤバいかも?」と気づいた時は、時すでに遅しだった。
自分の危険察知能力の無さと言ったら……。
あぁ、純弥さんの視線が痛い!