静穏総長も、時には激しく愛したい

伊織・純弥




*伊織*



俺は今、お見舞いに来ている。

お見舞い相手の名前は、純白純弥。

ケンカで負けなしと思ってたが、まさかの大敗だったらしい。入院に至るまでの傷を負ったのは、珍しいというしか他ない。



「このケガで、よく病院まで来れたな」

「助けてもらったんだよ、千秋くんに」

「(千秋?)」



初めて聞く名前だな――すると純弥が「今の最強ランキング三位の子ね」と付け足した。



「ってことは、総長か。お前も暴走族との縁が切れないな」

「本当、なんでだろうね~」



ニコニコとしているが、顔に張られたガーゼ、足にはグルグル巻きにされた包帯――表情には出さないが、痛いんだろうな。ベッドの上から一ミリも動かないのが証拠だ。
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