狐火の家のメイドさん 〜主人に溺愛されてる火傷だらけの侍女は、色々あって身一つで追い出されちゃいました。


    ―✿―✿―✿―

「さぎり。一人で無茶ばかりするでない」
「崇史様」
「漸く休暇が取れた。希海は暫く俺が見るから、お前は体を休めろ」
「ですが」
「いいから」

 そうやって、さぎりを布団に押し込み、火傷に軟膏を塗る様は、まるで甲斐甲斐しい夫のようで、さぎりはくすぐったく思ったことを今でも覚えている。
 その後も、希海とさぎりにお守りを作って渡してきたり、「危ない時は俺を呼べ」と再三に渡って言いつけてきたりと、それはそれは心配症の主人だったのだ。


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