狐火の家のメイドさん 〜主人に溺愛されてる火傷だらけの侍女は、色々あって身一つで追い出されちゃいました。

15 狐火の家のメイドさん(終)



 さぎりはあれから医者に囲まれ、すぐ様御影家へ運ばれ、先帝陛下の主治医が直々に治療するという、意識があったら心臓が止まってしまいそうな事態に陥った結果、無事に生還を果たした。

 どうやら、やはり征雅が切りつけた傷口の血が止まっていなかったらしく、失血と精神的負担によって失神してしまったらしい。

 翌朝目を開いたところで、泣きつかれて一緒の寝台で眠っている希海と、手を握ったまま寝台の脇で寝ている崇史が居て、さぎりは仰天してしまった。
 上手く体が動かなかったので、小さく声を上げると、二人とも飛び起きて、生きた心地がしなかったと大泣きされてしまった。
 さぎりは申し訳ないと思いながらも、温かい気持ちで一杯だった。
 こんなふうに、生還を喜んでくれる人ができるなんて、孤児になり、親戚の家に引き取られた時は、夢にも思わなかった。


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