孤独な悪役魔王の花嫁に立候補します〜魔の森で二人と一匹が幸せを掴み取るまで〜
「……夜は驚かせてしまうことがあるかもしれない。正直あまり感情の制御はできない。しかし傷つけないようにしたい。嫌なことがあったら言って欲しい」
「嫌なことなんてないですよ」
「そう言われて止められなくなったらどうするんだ。禁止事項を決めておいて欲しい」

 大真面目な顔でそんなことを言うのだからおかしい。
 全部奪ってくれても、嬉しいだけなのに。

「わかりました。考えておきます」

 私がそう言って立ちあがるから「どうした?」とアルト様に尋ねられる。

「ショコラがプリンを食べたいと言っていたのでそろそろ作ろうかと」
「……そうか」
「あ、もしかして私とまだ一緒にいたかったですか?」
「都合よく解釈する」

 アルト様も立ち上がり私を見下ろして、
「いつものアイノが戻ってきたな」とかすかに微笑む。

「今回だけは都合よく解釈できませんでした。実はそこまで自信ないのかもしれません」
「今回のことこそ都合よく解釈していい」
「言葉や昼間も行動で示してもらえると大変助かります」
「善処する」
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