孤独な悪役魔王の花嫁に立候補します〜魔の森で二人と一匹が幸せを掴み取るまで〜

07 胃袋を掴んでみせます

 

「暗い」

 朝のはずなのに暗い、時刻は朝の九時。しかし夜のように暗い。朝の光を感じなかったから寝坊してしまった。
 プリンシラ家の私の部屋・物置も窓はなかったけど、朝がきたことくらいはわかったのに。日光というものが存在しない。

 昨日ショコラが買ってきてくれた深緑のワンピースを着た。レトロな丸いフォルムのデザインで可愛い。お願いしておいた白フリルのエプロンもある。魔王城で働くクラシカルメイドをイメージしてみました。

なんだかアルト様は人間にいい印象は持っていなさそうだし、暗黒期までは、使用人として必要だと思ってもらおう。

 髪の毛はボブになったので動きやすい。数少ない荷物の中から、白い花の髪留めを取り出すと前髪を束ねてとめた。これは以前リイラにプレゼントしてもらったもので、リイラがレースを縫い合わせて作ってくれたもの。とても気に入っていたけどサンドラに見つかればどうなるかわかっていたので、なかなか身に着けることができなかったのだ。ここでの暮らしなら毎日だってつけられる!


「おはようございまーす!」

 廊下に出て大きな声を出してみる。何事も元気よく挨拶から、共同生活を円滑に進めるためには必要なもの!

 返事はないのでそのまま階段を下りていく。階段の下にはショコラがいて「おはよう」と返してくれた。

「ゆっくり眠れたみたいね」

「ちょっと寝坊しました」

「ここに寝坊の概念はないわよ」

 曜日も時間も関係ない引きこもり生活なのだ。

「さて、朝ごはん! 作りますか!」


 一日を元気に過ごすためには朝食から!ここ二年、ろくな食事をしていなかった私が言うのもなんだけど。とりあえず気合いをいれてダイニングに入る。
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