孤独な悪役魔王の花嫁に立候補します〜魔の森で二人と一匹が幸せを掴み取るまで〜



 今夜は宣言通り、人参のポタージュを作ろう!

 人参を四等分にして大きめの鍋に入れる。人参は大きめにカットしてじっくり茹でると甘みが強くなるから。
 茹でている間に、玉ねぎをスライスしてバターをたっぷり入れたフライパンで炒めていく。飴色になるまで丁寧に炒めたらオッケー。
 ついでに付け合わせのサラダの準備まで済ませて、冷蔵庫で冷やしておく。

「うーん。どうやってなめらかにしようかな」

 人参と玉ねぎを前に悩んでいた。ミキサーもブレンダーもないから。

 かなり柔らかくなっているからフォークで潰してもいいけど、あまりなめらかにはならない。私はツブツブ感が残ったどろりとしたポタージュも好きだけど、人参嫌いなアルト様に喜んでもらうならなめらかでサラサラとした飲み心地のほうが良さそう。

「こういう時こそ魔法じゃないかしら」

 ミキサーの代わりになる魔法はどんなものかしら。
 ミキサーは……刃を高速回転させることで粉砕していたはず。

「うーん。それなら風魔法で人参と玉ねぎを木っ端みじんにするのがいいかな」

 魔法書をペラペラめくってみる。木っ端みじんなら攻撃魔法のページを見てみるか。
 攻撃魔法は三年生から習う上級魔法だけど、対象が人参と玉ねぎなら魔力量も少なくていいはずだ。とりあえず鍋とフライパンからそれぞれ三分の一の量をボウルに入れてみて、それっぽい呪文を見つけて唱えてみる。


「アウラー・ヴィンド・ホーガバー」

 ボウ!!!

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