孤独な悪役魔王の花嫁に立候補します〜魔の森で二人と一匹が幸せを掴み取るまで〜
 悪役貴族が「お前ひとりが犠牲になれば全ては救われるのだ」とかリイラに言うけど、本当にその通りだな!と突っ込んでしまったくらいみんな死ぬ。



 だから、私がやることはただひとつ!
 リイラのかわりに私が白の花嫁に立候補するわ!
 生贄がすんなり魔王のもとへいけばお話は終わりなんだから!



 第一に、私は魔力がある。だから生贄としてアリ。

 魔王はリイラだから執着してるわけじゃない、儀式で花嫁と決まったからリイラに執着しただけだ。

 あの性悪家族は私が生贄になると聞いたら大喜びするだろう。がめついから娘を花嫁にしたのだから褒賞をよこせとわめくこと間違いなしだが。



 第二に、私に未来はない。

 寮生活の間は人間生活が送れても、三年後にはまたプリンシラ家に戻り、すぐにどこかに嫁がされることになる。どうせろくな家にはいけないだろう。
 老人や貧乏貴族ならまだマシでがめつくて性悪母のことだ。できるだけ金を持っていて、なおかつ底意地の悪い貴族に嫁がされる。
 噂は最悪だけど実は優しいイケメンでした! という恋愛小説のようなことは絶対にない。あの母親はそこらへんきっちりしっかりしている、最悪なことに。


 第三に、私はリイラが好きだ。そしてリイラとメインヒーローである王子のカップリングが大好きだ。
 フォスファンがアニメ化された時、リイラの相手は王子だった。マルチエンドではないこの世界ならリイラの相手は王子に違いない。幸せになってください。


 第四に、リイラが花嫁になるのは攻略対象が絶対に許さない。

 第一部中に攻略対象全員の好感度をアップすると魔王アルトルートが開かれる。全員から想われる逆ハーと、魔王からの執着愛とがメインとなるシナリオなのだ。ヒロインを奪い合って殺し合う、なかなか過激な展開だ。

 その点、私が花嫁になったところで誰も奪還しようと思わない。悲しいけれど。
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