財閥御曹司とお見合い偽装結婚。



「……若き後継者?」

「ホテル会社の御曹司の宝船翠翔さんっていう人……と建築業界の期待の星で建築会社の副社長の清田さんっていう人が一緒にリノベした最初の旅館だよ」

「宝船さんは御曹司だけどすごく仕事できるらしいし、清田さんは元々は後継者でもなんでもなかったけど優秀ですごいらしいのね。ちょっと待って記事探すから」


 美容師さんは自分のスマホを取り出してその記事を探そうと弄り始めて「采羽ちゃん、これ――」と何か言いかけた時、私を迎えに来たのか執事さんが入り口から入ってきた。



「すみません、また、来た時に話聞きますね」

「うん、そうだね。じゃあ、また話しようね。今日もありがとうございました〜」


 私は執事さんと一緒に外に出ると、車が止まっていてドアを開けてくれて車に乗り込んだ。
 
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