寝ても覚めても、離してやんない


 どうやら親が再婚して血の繋がらない妹ができた辺りから、不眠症になってしまったらしい。

 わたしってストレスには強い方なのかと思ってたんだけどな。


 そんなとき、暖の家に遊びに行ってうっかりベッドで寝てしまったときから。

 これだ――って、革命が起きたんだ。


 暖の匂いが、世界で一番安心する。

 これを嗅いでるときだけは良いことも悪いことも全部忘れて、何も考えなくて済む時間が訪れる。


 特に、暖の本体が一緒にいれば。

 なによりも幸福だけを感じていられるのだ。



「……お姉ちゃん、ごはんだよ」



 終わりの合図がやってきた。

 揺さぶられた振動で目を覚ます。

 辺りに暖の姿はなくて、妹の朗らかな笑顔だけがあった。


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