Dr.luce
ルーチェも医療のことは少し離れ、会話を楽しもうと映画のことを話していく。研修医になってから、映画館には足を運んでいない。アーサーとティムと話している間に、大きなスクリーンで迫力のある映像を見たくなってしまった。

「あの監督の映画好きだから、映画館で観たいな〜!」とティム

「研修終わった週の日曜日とかどう?よかったら、予約しとく」とアーサー。

「日曜日は予定ないよ。映画館なんて久々だな」とルーチェ。

紺色のスクラブを着て白衣を纏っているものの、この何気ない会話をしている間は難しい医療のことなどから離れることができる。しかし、そんな穏やかな時間も三人がポケットに入れているPHSが鳴り響くと終了してしまうのだが……。

三人のPHSが同時に鳴り響き、ルーチェが「これは……来たね」と言いながら苦笑する。PHSの電源を押し、耳に当てるとルーチェが口を開く前にクラルの声がした。

『ルーチェ、休憩中にごめんね。これからまた救急車で患者さんが搬送されて来るから、救急科に戻って来てくれないかな?』
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