カフェオレでも飲みながら。
友達はそう言う




 伊織と自分は付き合っているように見えるらしい。

 この頃、私はそれについてよく考える。

 
 理由が伊織の常習の思わせぶり以外にひとつある。


 転入してきた伊織に一目惚れしたと騒いでいた女の子が、自分を嫌うのだ。


 女の子は同じクラスに居て、名前を川野園香という。


 掃除の時間、一人でいるとき、私は園香にヒステリーを起こされた。私は面食らった(何しろいつもは無視されるから)し、相手は気が昂ぶっているしで、最初何の話かよく分からなかった。




「ねえ、付き合ってないなら、仲良くしないでくれないかな」

「な、何が?」




 いきなりそう言われて、私の声は上ずってしまった。



「私が好きなの知ってるでしょ。山内くんだよ。」



 単刀直入だった。
 園香が言った。



「朝田さんばっかり、何で?」



 怒っている。




「し、知らない。家が近いから、仲いいんだよ。」

「それってすっごい羨ましい。ねえもう交換してよ。」




 交換って…。



「言ってあげるよっていう人より優しいけどさ、朝田さん嫌味だよ。」



 園香が言った。



「私朝田さんが好きじゃないって言いながらデートしてるの知ってるよ。私に好きじゃないって言ったら怒るよ。ねえ、朝田さんも山内くんを好きなんでしょう?譲ってよ」



 ちょうど良く先生が来たので、私は這々の体で逃げ出した。












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