初夜で妻に「君を愛することはない」と言った私は、どうやら妻のことをめちゃくちゃ愛していたらしい

2 急に妻の様子が変わった初夜



 私はマイケル=マクマホン。侯爵家の長男で、次期侯爵だ。

 私は今日、長年の婚約者であったステファニー=スマイル侯爵令嬢と結婚した。

 私は彼女のことが苦手だった。
 常に私を付け回し、私にありとあらゆる手で嫌がらせをしてくる彼女のことが、本当に苦手だった。

 何より、私が彼女に関する愚痴を言うと、周りが「またまた〜」「惚気ちゃって」と相手にしてくれないのが本当に嫌だった。

 結局、私がずっと嫌がっていたにも関わらず、婚姻はなされてしまったのだ。

「ミッチー! 花嫁衣装のわたくしですわよ!」

 ドヤ顔で喜んでいる彼女は、……割と、いや、その、綺麗だったことは否めない。

 純白のそのドレスは、意匠を決めるのに四時間もかかった逸品だ。あれでもないこれでもないと悩む彼女に、選び終わった頃には私もデザイナーもくたくただった。

 そこまで時間をかけただけあってか、そのドレスは彼女の魅力を最大限に引き出していた。
 ミルクのような白い肌、艶めく唇、そしてその初々しい雰囲気は、天使が舞い降りたかと錯覚するほどだった。
 ……彼女が喋らなければ、だけどな!

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