今日から私は何かに夢中!

雪景色に魅せられて

 雪は、降って当たり前。

 北海道で生まれ育った私は、そういう感覚で育ちました。

 冬になると、街が白くて美しい雪景色に変わります。

 心が華やぎ、ウキウキと楽しくなります。

 雪かきはしんどかったですけどね(笑)。

 関東地方に住むようになってから〇〇年が経ち、ようやく雪が無い物足りなさに慣れました。

 今は、雪があまり降らない場所で過ごす冬も、好きになりましたね。

 どちらにも良いところがあり、それを楽しむことが出来ちゃいます。

 冬の過ごし方というのは雪の有り無しによって、だいぶ異なるものなのですね。

 雪道は凍りやすいですし、そのまま歩いても滑って転ぶ事があるので注意が必要です。

 でも雪が無ければ安心して歩けます。靴もスパイクつきのものじゃ無くて、普通のものを履けますしね。

 毎日せっせと雪かきをしなくて済むし、それだけでも体への負担が減るのでいいなと感じます。

 雪の無い地域では、たまに雪が降ると電車が止まってしまい、大勢の方々が大変な思いをしなければならないのには、驚きましたけれど。

 時々、小さな頃に過ごした冬の思い出が、心の中で甦る事があります。

 しんしんと降り積もる雪を、窓からただただじ〜っと観察しておりましたね。

 耳がつんとするような静けさを感じながら雪を見るのが、たまらなく楽しかったです。

 あの光景ってどういうわけか、ずーっと見続けていると、雪が下に降っているはずなのに、自分の方がどんどん上にあがっているような気持になるんです。

 何だか、ものすごく不思議な感覚になります。

 じーっと、雪だけを見続ける必要があるんですけれども。

 その気持ちが面白かったので、身近な人に説明したことがあるんですけど、だーれも共感してくれませんでした。

 母も兄も、首を傾げておりました。

「うーん、その気持ち…………わからないなぁ」

 みたいな感じで。

 えー。

 二人には、わからないのかぁ。

 残念だなぁ。

 どなたか、わかって下さる方いらっしゃいますか???

 誰かとこの不思議な感覚を、共有してみたいのですけれどね。


 実家の近所に当時、だだっ広い空き地がありました。

 こんもりと雪が積もったその空き地で、友達とそり遊びをしたり、雪合戦をしたしもしました。

 ちょっと遠くを見ると、ぽつんと可愛い感じの、小さな煉瓦造りの建物があったんですよ。

 冬になるとその場所が一面雪に覆われて、空を見上げるとオリオン座が冬の夜空に輝いていて、一枚の絵画のように神秘的で、可愛らしく見えました。

 小さな頃から目に焼きついていたその景色は、童話のワンシーンに入り込んだ感覚で、大好きでした。

 今は、故郷から遠く離れた毎日を送っておりますので、ふとした瞬間にその雪景色を思い出し、時々涙が溢れ出そうになります。

 ちょっとセンチメンタルになっちゃいましたね。

 雪にまつわる思い出話を、させていただきましょうかね。


 7歳くらいだった頃の、冬のある日の出来事です。

 フンワリした新雪がこんもりと高〜く、家の庭に降り積もっていたのです。

 ふいにやってみたくなって、スキーウェアに着替えて2階から何度か「ズボッ!!」って、雪の中に飛び降りたんですよね。

 めっちゃ楽しかったです。

 空飛んでる気分で。

 もーちょっとやりたい!

 やりたいやりたい!!

 って心踊ったのです。が……

 その音を聞いた母が「何やってんのー!!」と。

 それまで一度も見たことの無い驚愕の表情を浮かべながら、大声で私を諌めました。

 とても心配をかけてしまったようです。

 お母さん、ごめんなさい。

 もうしませーん!



 中学生の頃には、こんな出来事もありました。

 融けた雪が凍って固まった、広い道路の横断歩道のど真ん中を、急いでいたので速足で歩いた瞬間。

 ツルツルになっていた路面に足を滑らせ、勢いよくすっ転んでしまい、路面に後頭部を『ガーーーン!!!』と打ちつけてしまったのです。

 生まれて初めて、目の前を火花が舞い散りました。

 とても恥ずかしくて生きた心地がしませんでしたし、しばらく後頭部のたんこぶはズキズキ痛みましたし。

 広い横断歩道でしたので、車の中からたくさんのドライバーの方が、「ああ、あの中学生、すっごい勢いで転んだな。バカだなぁ。ドジだなぁ。可哀想だなぁ。ありゃタンコブになるぜ、絶対」とか思ったかも知れません(笑)。

 一生忘れられない、恥ずかしい思い出ですね(笑)!

 色々思い出せば出すほどに……

 私って今、北海道に住んで無くて良かったかも知れない……と思いました。

 ドジなのは相変わらずなので、きっと何年かに一回は派手に転んで、骨折とかしてしまいそうな気がします。

 人に迷惑かけるのは嫌だしなぁ…

 とにかく、どこにいてもしっかりしないといけませんね。

 あの雪景色を、またこの目で見たいものです。
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