この唄を君に捧ぐ(誰にも言えない秘密の恋をしました)続編
日本へ帰国
次の日。

結局眠れず悶々と、心菜の寝顔を見つめて過ごし、うとうと出来たのは明け方だった。

空港までの道のりをタクシーに乗り急ぐ。

「蓮さん眠そう。大丈夫?」
隣に座る心菜が、心配気に俺の顔を覗き込む。

「大丈夫だ、移動中に寝るから俺の事は心配するな。それよりも、心菜は問題無いか?少しでもお腹が張るようなら直ぐに俺に言って欲しい。」

安定期ではあるけれど、気圧の変化で何が起こるか分からない。医師からは張り止めの薬を予めもらっている。

それでも不安は尽きない。

「分かった。蓮さんこそ心配し過ぎないでね。」
フフッと笑う心菜の可愛さは今日も健在だ。


国際ターミナルに着き、離陸まで空港のラウンジで時間を潰す。

ファーストクラスに乗るのは初めてらしく、先程から心菜のテンションは上がりっぱなしだ。

「このジュースもケーキもタダなの?」
目の前に置かれた、アメリカンサイズのケーキセットに目を輝かせている。

「タダと言うか、航空代金に全部含まれてるんじゃないか?
それより、あまり食べ過ぎるなよ。フライトの時に気持ち悪くなったりしたら大変だ。」

俺はホットコーヒーを片手にリラックスして過ごしている。

「こんなサイズのケーキは初めて。1人じゃ食べきれないから蓮さんも手伝って。」

2人でベークドチーズケーキをシェアして、なんとか食べ終える。

そして、搭乗の時刻になり航空機に乗り込む。
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