月夜に1人の私を見つけて

ふと、うさちゃんが2匹セットになっているぬいぐるみに目が止まった。


ピンクのニット帽を被ったうさちゃんと、
スカイブルーのニット帽を被ったうさくんが、
お互いの手に赤いハートを持ち、寄り添い合って座っている。

──可愛い。見てるだけで幸せな気分になれそ。


ふと、2、3日前に大和とソファに並んで座って月を眺めたことを思い出した。


──もし、これを買って部屋に飾ったら、あの日のこと、いつも思い出せるかも。


自分の肩を抱き寄せ、柔らかく微笑んでくれた大和の表情を思い出し、思わず1人で赤面してしまう。


大和のそばにいるのは、とても心地良い。


昨日、バイクに乗って、彼の腰に手を回していた時もそうだった。


温かくて、優しくて、気にかけてくれて、包み込んでくれる。


──会いたく、なっちゃうな。


大和に抱きしめてもらった感覚を思い出して、また1人赤面していると。


トントン


肩を叩かれて、反射的に、ばっっ!!と勢いよく振り向いた。


すると、そこに立っていたのは──

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