別れさせ屋の仲間になった私の結末
Card 24 ♣︎ ヤサシイヒト
「……誰?」
顔の上半分を覆い隠す、長い前髪。
極端に顔を前へと突き出した、猫背な姿勢。
話したことがない生徒なら、クラスメイトでも疑わないと思う。でも私は……。
「誰って……。相良宗介だけど?」
疑っても、この人はうろたえることもなく、堂々とした態度でウソをつらぬこうとする。
「……っ、誰ですか」
流されないよう、強い口ぶりで再度たずねてみたのだが、
「ああ……。キングって答えたほうがよかった?」
相良くんを装った彼は、私の手首を握ったまま、テーブルに手をついて顔を近づけてきた。
その口元はニヤニヤと笑みを浮かべていて、怪しむ私を面白がっているみたい。
「声が違う……」
問い詰めるために、真ん前の顔を睨みつけると、偽物の彼は口の両端を上げ、「そんなことより」と話を切り替えてくる。
「ココは、まだなんだっけ?」
遠慮なく頬に手を添えてきて、その親指で私の唇を撫でてきた。
「っ……」
「おっと、逃げなくてもいいじゃん」
「やだ、放して!」
何かされそうな気がして、仰け反る体勢をとると、相手の手は頬からうなじへと移り、逃がさないようにするためか、がっしりと首を掴んできた。
顔の上半分を覆い隠す、長い前髪。
極端に顔を前へと突き出した、猫背な姿勢。
話したことがない生徒なら、クラスメイトでも疑わないと思う。でも私は……。
「誰って……。相良宗介だけど?」
疑っても、この人はうろたえることもなく、堂々とした態度でウソをつらぬこうとする。
「……っ、誰ですか」
流されないよう、強い口ぶりで再度たずねてみたのだが、
「ああ……。キングって答えたほうがよかった?」
相良くんを装った彼は、私の手首を握ったまま、テーブルに手をついて顔を近づけてきた。
その口元はニヤニヤと笑みを浮かべていて、怪しむ私を面白がっているみたい。
「声が違う……」
問い詰めるために、真ん前の顔を睨みつけると、偽物の彼は口の両端を上げ、「そんなことより」と話を切り替えてくる。
「ココは、まだなんだっけ?」
遠慮なく頬に手を添えてきて、その親指で私の唇を撫でてきた。
「っ……」
「おっと、逃げなくてもいいじゃん」
「やだ、放して!」
何かされそうな気がして、仰け反る体勢をとると、相手の手は頬からうなじへと移り、逃がさないようにするためか、がっしりと首を掴んできた。