別れさせ屋の仲間になった私の結末
しばらくすると、小さな足音が聞こえ、静かにドアが開かれた。中を覗いた彼は、暗がりにひっそりとたたずむ私に驚く。

「なんで電気つけてないの。暗くね?」

「誰か来たら嫌だなと思って……」

「来ねぇよ」

キングは疲れきった顔で、この前と同じソファーにカバンを置いた。

「その椅子固いだろ? こっちに居りゃいいのに」

「……大丈夫」

「座る?」

「ううん、ここでいい」

断ると、キングはドカッとソファーに腰掛け、そのまま横になる。

「……依頼主と会ってたんだよね?」

「あー。昨日と今日で3件」

「そんなに?」

そういえば、私の依頼を引き受けていたときも、依頼主らしき人と会っているところを見たことがある。

思っていたよりも、依頼する人は多いのかもしれない。

「全部、文化祭がらみ」

「文化祭?」

「準備期間や後夜祭とかで、くっつくヤツら多いじゃん。そういうのあった後って、依頼が増えるんだよ」

キングはハァッと大きなため息をついて、髪の毛をかきあげる。

大きな手と、目を閉じた綺麗な顔。

寝顔なんて見かけることがない私は、閉じたまぶたを遠くから静かに眺める。
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