祝福のキスで若返ったかつての英雄に、溺愛されることになった聖女は私です!~イケオジ騎士団長と楽勝救世の旅と思いきや、大変なことになっちゃった~
 その時、激しい戦闘中だというのに、皆ぽかんとしたと思う。

 だって、今までジュリアスはエセルバードが何をしでかしても、怒ったからと怒り返す訳でもなく落ち着いた大人の対応だった。

 ……けど、ジュリアスは叱るというより、怒鳴った。

「ジュリアス……お前……」

「殿下。聖女様は僕にとって大事な人なんです。僕自身が言われることには我慢出来ますが、その人を貶めるような物言いは止めてください。さもないと……」

「だから、なんだよ! ここで俺を脅すとは……お前、良い気になるなよ。俺は王族だ。貴族ではあるが、単なる騎士団長のお前とは全然違うんだよ!」

 エセルバード。これって、世界の存亡に関わる危機を防ぐための戦いだっていうのに……何考えてるの!

 今も騎士団の皆さんが必死で戦っているというのに、その前でエセルバードはジュリアスに噛みついていた。

「では……職を辞し王国を出れば、僕は貴方の家臣ではなくなります。そうすれば、良いですか?」

「お前。一体、何を企んでいる?」

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