祝福のキスで若返ったかつての英雄に、溺愛されることになった聖女は私です!~イケオジ騎士団長と楽勝救世の旅と思いきや、大変なことになっちゃった~
 キリッとした整った顔立ちの団長は自分の声や肌が若返っていることを把握し、何が起こったのかという驚きでか薄い緑の目を何度も瞬いていた。

 けれど、現代のライトノベルが大好きで異世界ものに嗜んでいて特殊なシチュエーションをいくつか知っている私自身は、これはもしかしたら……と彼がこうして若返った事情をなんとなく察していた。

 これって……もしかして、聖女の私に与えられるという『祝福』の能力の仕業なんじゃないの?

 別世界から聖女として召喚された私には、この世界を救うボーナスとして神様から与えられるはずの『祝福』と呼ばれている特殊な能力があるはずだった。

 この異世界はこれまでにも世界を救うため十年周期で異世界の聖女の召喚が行われていて、それがもう百回以上も続いているらしい。

 だから、召喚された聖女に神より与えられる『祝福』には良くある能力とされるものが、何種類か出揃っている。

 けど、今回の聖女である私は幾通りかある発動方法を試してみたけど、何をしてもうんともすんとも何も起こらずに発動しなかったのだ。

< 2 / 123 >

この作品をシェア

pagetop