ムラマサ! ~道端でちょっとめんどくさいイケメンを拾いました~

秘密を作ろう

 

 あやめと村正が結婚する少し前――。

 あやめたちは庭のテーブルで、二人だけの時を過ごしていた。

「もうすぐ結婚式だな」

「えーと。
 あの、でも、なにかこう、まだピンと来てないんですけど……」

「そうだな。
 ムラマサのプロジェクトも忙しかったし。

 結婚まで怒涛の展開だったから、落ち着いて、恋人同士の時間を味わうこともなかったな。

 式までに、もうちょっとこう、ふつうの恋人っぽいことをしたいかな」

 こうして、キスとかする以外に、と言いながら、村正は身を乗り出し、テーブル越しにキスしてくる。

 あやめは照れて視線をそらしながらも問うてみた。

「……恋人っぽいことですか。
 なにをしたらいいんですかね?」
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