ムラマサ! ~道端でちょっとめんどくさいイケメンを拾いました~
 


 買い物に行っているとき、ムラマサがスマホを眺めているのに気がついた。

「どうしたんですか?」
とあやめが訊くと、

「いや、大おじさんからメッセージが」
と顔をしかめる。

「王子さん?」

「王子に『さん』付けおかしいだろう」

「人の名前かもしれませんよ」
と話しながら、街を歩く。

 こうしてると、普通の男の人だな。

 さすがに外では『ムラマサ』にはならないようだった。

 っていうか、女性陣に振り返られている。

 ……いや、男性も振り返っている。

 なんかキラキラしてるからな、この人。

 ご主人様とか言いながら、ご主人様より、キラキラしないでくださいよ、とあやめは思った。



< 54 / 372 >

この作品をシェア

pagetop