厄介払いされた聖獣王女ですが、冷徹なはずの皇帝陛下に甘やかされています
「今日はこのあと、おめでたい知らせがあると父から聞き及んでおります。陛下がお相手を定められるとみて間違いないですわね」
「シルビア様も、いつもより気張ってご準備をされていましたわ。……はぁ、お飾りでもいいのでわたくしのことも側妃にしてくださらないかしら……」
「そんなことを言っていると行き遅れてしまいますわよ? 花離宮が解散されたら、わたくしはすぐにお見合いをするつもりですの」

 盛り上がる会話についていけず、いたたまれなくなったフランは、こっそりと輪を抜けて会場の隅へと避難した。
 やはり皇太后が言っていた一大発表というのは、婚約関連の話で間違いはなさそうだ。

(そのお相手は……私? それとも、シルビア様……?)

 胸がぎゅうっと締めつけられる。果たしてこのまま冷静でいられるのだろうかと思っていると、聞き覚えのある声が耳に届いた。

「……フラン? フランなのか?」
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